PCR産物をプローブとしてP1マウスおよび成熟マウスの脳由来のライブラリーをスクリーニングすることによってsemaGの全長を単離することができた。アミノ酸861個からなること、および膜貫通領域と推定される疎水性領域の存在が示唆された。また他のsemaファミリーと同様に細胞外と考えられる領域に非常にホモロジーの高いsemaドメインを持つことが明らかになった。このsemaGの一部をプローブとしてin situ hybridizationを行ったところ大脳皮質、後根神経節をはじめとする神経系と胸線に強い発現を認めた。さらにsemaGの3'端部分をプローブとしたノーザンブロット解析では神経系以外でも認められるバンド以外に、これより大きなバンドが神経系において認められることから神経系特異的なタイプの存在が考えられた。現在このバンドに相当するクローンの単離を試みている。これらの結果からこの蛋白が膜貫通型のレセプター様構造を持つ可能性があること、さらに神経系以外における発現があることからsemaドメインの機能としてこれまでに示唆されていたコラプス活性以外の機能についても検討する必要があること、神経系には神経特異的なタイプが存在すること、が示唆された。また抗体の作製のため大腸菌を用いてsemaGのC末のアミノ酸部分を大量発現した。これを用いて現在兎を免役しているところである。抗体の産生は実際にsemaGが作用している場所の同定に欠かせないものであり、その機能解析に役に立つものと考えている。
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