G蛋白質βサブユニット、mycエピトープを融合させたG蛋白質γサブユニット(mycγ)およびムスカリン受容体m2サブタイプを、恒常的に過剰に発現させたCHO細胞株を分離した。この細胞ではムスカリン受容体刺激によるMAPキナーゼ活性化が著しく亢進した。またG蛋白質βサブユニット、mycγサブユニットを一過性に過剰発現させた293細胞においてもMAPキナーゼが活性化された。293細胞に同時にドミナントネガティブrasを発現させるとMAPキナーゼの活性化は抑制された。これらの細胞ではG蛋白質βγサブユニットがrasを介してMAPキナーゼを活性化していると考えられる。この2つの細胞系をもちいてG蛋白質βγサブユニットに結合すると考えられる蛋白質の単離を試みた。G蛋白質βサブユニットおよびmycγサブユニットを大量発現させた細胞株の細胞膜画分を界面活性剤で可溶化したのち抗mycモノクロナール抗体を用いてG蛋白質βγサブユニットを免疫沈降させた。この画分にG蛋白質βγサブユニットに結合する蛋白質が共沈することが期待される。対照としてmycエピトープを持たない野性型のγサブユニットを発現させた細胞を用いた。免疫沈降物の電気泳動像の比較によりG蛋白質βγサブユニットに特異的に結合すると考えられる分子量約12万kDaおよび8万kDaの蛋白質を分離した。その部分アミノ酸配列の解析を行う予定である。その情報が得られればそれをもとにcDNAクローニングを単離する計画である。
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