申請者はミクログリアには少なくとも2つのサブタイプが存在することを見いだした。本研究では遺伝的変異によって1つのサブタイプがほとんどないop/opマウスを用いることと、FACSにより2つのサブタイプが分離することを利用して各サブタイプを単離する方法を確立し、その性質を調べた。この2つのサブタイプは両者とも貪食能があり、マクロファージ様の性質をもつ細胞であるが、そのうち一方はMac1陰性であり今までにない新たな性質のものと考えられる。このサブタイプの性質をさらに調べたところ、通常のマクロファージやミクログリアには反応しないER-MP12抗体で染色できることがわかった。またFACSによってソーティングした細胞からRNAを抽出してRT-PCRにより検索したところ、ミクログリアに通常発現しているCD14やMHC class l のmRNAの発現がきわめて低いことがわかった。成熟動物脳にみられるミクログリアはMac1陰性でしかもCD14やMHC抗原を発現していないことより、この新たなミクログリアのサブタイプが正常脳で見られるミクログリアに対応すると考えられる。したがって今後さらにこのサブタイプの性質を明らかにすることによって今までよくわからなかったミクログリアの性質や多様性の解明の糸口になると考えられる。
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