研究概要 |
本研究の最終目的は、入力系の遮断、変更に起因し物理的損傷を必ずしも伴わない神経の発芽現象について、その引き金となる物質的過程を解明することを主に以下の2つの系を対象として研究を行う予定であった。1つは成熟ネコを用い、1)正常群と2)実験群前腕腕で{正中神経、尺骨神経}と{橈骨神経}をつなぎかえる交差縫合をおこない赤核群に発芽をおこさせる群を用いる系もう1つの系はラットを用い1)正常群と2)実験群sciatic nerve周囲にtetrodotoxinをつめたチューブを留置し活動電位を遮断し発芽をおこさせる群をもちいる系である。しかしネコによる交差縫合の実験に関しては、交差縫合後のネコ赤核における、C-FOS,PKC(γ)(Protein kinase C)の発現状態の検索を試みたが正常群との有意差は認められなかった。この為、この系に関してはさらに異なる物質による検索が必要と考えられた。しかし阪神大震災後、被災動物の金沢市に対する動物払い下げが表面化し社会問題になるなど、今後イヌ、ネコを用いた動物に関しては実験の継続の困難が予想された為、主にラットに系を集中して研究をすすめる事とした。当初予定していたラット坐骨神経に対しtetrodotoxinをつめたチューブの留置する事の他に神経冷却により活動電位を停止させ、この事によりひきおこされると予想される発芽現象の検索を試みる事とした。研究に必要な神経冷却装置をサーモモジュール(6300/127/060秋月電子)を水冷することにより手製で試作完成させた。現在は、この冷却装置を用いラット坐骨神経の活動電位を停止させる事により発芽現象がおこるかどうかを検索中である。今後、この系を用い冷却による物理的損傷をともなわない発芽現象の物質的機序の解明を免疫組織化学的方法によりおしすすめる予定である。
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