研究概要 |
前年度までの研究によりヒト色素性乾皮症G群原因遺伝子XPGのマウスホモログであるxpgのゲノミックDNAをクローニングし、マウスゲノミックDNAからそれぞれ異なったエクソンを不活性化する3種類(TV1,TV2,TV3)のターゲッティングベクターを作製した。TV2およびTV3の実験から得られた相同組み換え体と確認されたES細胞の中から、染色体数や形態が正常であると思われるクローンを選び、C578BL/6の初期胚にマイクロインジェクション法を用いて導入したところ、キメラマウスが誕生した。本年度の研究において、このキメラマウスをC57BL/6マウスと交配したところ、アグ-ティの毛色を持つ固体が誕生し、キメラマウスにおける変異xpg遺伝子の生殖線への移行が確認された。変異xpg遺伝子をヘテロに持つマウス同士の交配を行ったところ、仔マウスが誕生したが、その中に成長が著しく悪く、離乳時期までに死亡する固体が観察された。この矮小マウスはすべて変異xpg遺伝子をホモに持つマウス(以下ノックアウトホモマウス)で、正常マウスは変異xpg遺伝子をヘテロに持つまたは正常遺伝子ホモのマウスであった。矮小マウスと正常マウスとの分離比は1対3から有為な差は観察されず、ノックアウトホモマウスは発生途中で死亡することはないと考えられた。ノックアウトホモマウスの成長は著しく悪く、生後16日目における体重のは正常マウスの約1/3であった。今後このノックアウトホモマウスが離乳時期までに死亡する原因を明らかにして行く予定である。
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