研究概要 |
1.平成7年度の研究目的 不整脈機序解明のためのコンピュータシミュレーション解析システムの開発を目的として,平成7年度は,2次元以上の心筋興奮伝導モデルの高速計算法の開発,及び2次元以上のモデルによる虚血心筋興奮伝導シミュレーションの実現を目的とした。 2.平成7年度の研究実績及び今後の展開に関する計画 (1)心筋興奮伝導モデルの高速計算法の開発について 従来研究では正常心筋1次元モデル(偏微分方程式)に対する高速計算手法を提案していたが,本年度研究では,さらに虚血心筋1次元モデルに対応させるために改良(精度向上)した高速計算手法の提案とその電気生理学的評価を行った(論文発表済)。さらに,正常心筋2次元モデルに対応した新たな高速計算手法を提案した(研究会発表済)。今後の計画は,2次元虚血心筋モデルに対する高速計算法の電気生理学的評価を行うことである。 (2)虚血心筋興奮伝導シミュレーションの実現について 従来研究では1次元の虚血心筋モデルしか提案されていなかったが,本年度研究では,2次元心筋モデル上の任意の位置に任意の虚血状態を持つ細胞部位を指定出来るシステムを開発し,虚血心筋興奮伝導シミュレーションによりその効果を検討した(論文発表予定)。今後の計画は,生理実験結果として報告されている虚血心筋興奮伝播過程と類似の設定をコンピュータモデルで表現し,不整脈機序の解明をコンピュータシミュレーション解析の視点から実現出来るシステムの開発及びその応用法の検討を行うことである。
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