研究概要 |
生体計測や無拘束計測のために有用なコードレスセンサは,センサ・電極と測定・記録計間に介在するリ-ド線の省略のために近距離テレメトリを利用している。したがって,その開発に際しては小型軽量で高効率(低消費)のアンテナについて検討することが重要なポイントとなる。本研究ではこのブレークスルーのため,(1)生体をアンテナの一部として使用する可能性,(2)テレメトリ装置と生体との効率の高い結合方法,(3)生体を電磁波伝送の媒体として利用する方法などについて検討を行うとともに,電磁波の身体浸透の周波数特性や指向性などを始めとする生体電磁波特性の基礎的解明を試みた。 本年度の成果としては, 1.生体電気モデルにおけるアンテナ特性の理論的解析として,生体の電気モデルを仮定し,アンテナの放射指向性,放射抵抗,電力利得等の諸定数の算出を行い,生体アンテナの可能性について理論的に追求した。 2.テレメトリ装置と生体アンテナの電磁結合の実験的検討として,生体アンテナと送受信器とを結合する方法について,アンテナ端子インピーダンスとテレメトリ装置との入力インピーダンスの最適な整合条件の決定のために,カップリング部分の形状や大きさ等について実験的検討を試みた。 3.生体の電磁波特性の基礎的検討として,生体アンテナ結合の技術を利用することにより,生体を電磁波媒体として利用し,効率の良い情報伝送を行う可能性について検討した。更に,生体への電磁浸透や減衰,反射等の電磁波特性を始めとする電磁波に対する生体物性の基礎データの収集を行い,本法の適用範囲の限界について検討した。
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