研究概要 |
ウイルスの融合タンパク質の活性部位と類似した構造である両親媒性αヘリックスを形成するポリペプチドpoly(Glu-Aib-Leu-Aib)を合成し、活性に及ぼすこのポリペプチドの分子量やコンホメーションの影響を調べることによって、膜融合活性ポリペプチド設計の最適化を行った。さらに、このポリペプチドのリポソームへの固定化について検討した。 種々の分子量を有するオリペプチドpoly(L-Glu-Aib-L-Leu-Aib)をホスホロアジド酸ジフェニル法によって得た(平均分子量1700,3400,4400)。また、(Glu-Aib-Leu-Aib)(n=2,3)を液相法によって合成した。これらのポリペプチドは酸性条件下で卵黄ホスファチジルコリンリポソームの融合を誘起した。分子量1255以下のペプチドは弱い活性しか示さなかったが、1700以上の分子量をもつポリペプチドは強い活性を示した。またその活性は分子量の増大とともに大きくなることがわかった。 一方、ポリペプチドの膜融合活性に及ぼすコンホメーションの影響を評価するため、αヘリックスを形成しないpoly(D-Glu-Aib-L-Leu-Aib)および(D-Glu-Aib-L-Leu-Aib)(L-Glu-Aib-D-Leu-Aib)ランダム共重合体を合成し、これらのポリペプチドの膜融合活性と、αヘリックスを形成するpoly(L-Glu-Aib-L-Leu-Aib)の活性を比較し、poly(L-Glu-Aib-L-Leu-Aib)が最も大きな活性を示すことがわかった。 さらに、 poly(L-Glu-Aib-L-Leu-Aib)のリポソーム膜への固定化を行った。Glu残基側鎖のカルボキシル基の一部にアルキル鎖を導入したポリペプチドはリポソーム膜に安定に保持されることがわかった。また、このポリペプチドを固定化したリポソームは、融合性を示すことが示唆された。
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