研究課題/領域番号 |
07801025
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
社会学(含社会福祉関係)
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
小倉 利丸 富山大学, 経済学部, 教授 (60135001)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1997年度: 200千円 (直接経費: 200千円)
1996年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1995年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 多文化主義 / ポピュラー音楽 / 沖縄 / 音楽産業 / 大衆文化 / アメリカ大衆文化 / 香港 / 多文化産業 |
研究概要 |
本研究の目的は、文化産業が、大衆音楽の分野において、異なる文化の文化情報の伝播に関して、文化産業や情報産業がどのような役割を果しているかを研究するものであった。そして、複数の文化の共存を文化摩擦や社会紛争の要因としてみるのではなく、新たな文化創造の契機としてとらえ、日本の多文化主義の可能性を探ろうというものであった。 以上の目的に沿って、初年度に資料収集を行い、第二年度には、具体的に大衆音楽の分野での国際的な情報伝播の在り方についての検討を行うとともに、いくつかの事例研究を試みた。特に、沖縄については、数回の現地調査を行った。最終年度にも、前半では沖縄での現地調査を継続し、後半でこれらの研究、調査の取りまとめを行った。 本研究を通じて、国際市場を通じた文化伝播だけに着目する方法の限界があきらかになった。異なる文化間の文化伝播、とくに大衆音楽の分野では、音楽産業による国際的な市場の形成、マスメディアによる情報伝達、地域の若者文化やサブカルチャーの形成などを複合的に検討することが不可欠である。 また、特に、沖縄の現地調査では、多文化主義の現実的な問題が明らかになった。複数の文化の地域的共存と、それらの文化が人々に共有されている状態とは別の事柄であること、とくに、米軍基地と米軍政下にもたらされた米兵の娯楽としてのロック音楽については、それらが沖縄の大衆音楽として根付くためには、いったん本土の音楽資本によるロックの商品化という経路を経なければならず、地元の沖縄の音楽的伝統との融合は、決してみかけほど進んでいるとはいえなかった。復帰後の沖縄中部地域におけるロックを中心とした地域振興政策等の意義と問題点を検討する中で、真に多様な文化が共有される条件を形成するためには、音楽文化をとりまく社会的、政治的な環境そのものが重要な意義をもつという点も、明らかになった。
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