経済発展は、必ずしも経済的要因だけで達成されるものではなく、特にアジアの発展途上国の経済システムと社会システム(下位体系)の相関関係を分析すると、経済システムはその国や地域固有の社会構造によって規定されていることがわかる。この点従来多くのアプローチは全体社会と経済システムの関係から捉えてきたが、経済社会学の視点に基づく本研究は、社会システム(下位体系)を、社会集団や地域社会という「社会システム」、生活様式の「生活システム」、社会的規範と文化的価値に基づく行為態度という「行為システム」の3つに分けて考察した。この結果、固有の社会構造に応じた多様な経済発展の経路が存在し、この固有の社会システム(下位体系)を考慮することが、地域住民にとって望ましい適正規模の経済発展につながる点、またそれは社会システム(下位体系)の水準上昇である社会発展をめざす社会開発によって可能になる点が、明らかになった。
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