研究課題/領域番号 |
07801073
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
言語学・音声学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂本 勉 九州大学, 文学部, 助教授 (10215650)
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研究分担者 |
行場 次朗 (行場 次郎) 九州大学, 文学部, 助教授 (50142899)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1996年度: 400千円 (直接経費: 400千円)
1995年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 統語解析 / 両耳分離聴法 / 空主語 / 主語指向文 / 目的語指向文 / トップダウン / ボトムアップ / 両耳分聴法 |
研究概要 |
我々がどのようにしてある言語表現を「理解」しているのかということは言語研究の基本的問題の一つである。この問題に対するアプローチは様々であるが、本研究では、統語解析のメカニズムを解明することにより、言語における「理解」とはどのような認知的プロセスであるのかを明かにすることを目的とした。 そのためにまず、言語理論に基づいて統語解析のモデルについて考察した。具体的な研究対象として、日本語における「空主語」(あるいは、「省略された主語」)を含む文の理解過程について考察した。本研究では、両耳分離聴法(dichotic listening)を用いて、実時間(real time)での統語解析の様態を解明することを目指した。コンピュータによって合成された文を刺激として、YES-NO判断を行わせる実験を遂行した。さらに、刺激文の主語と目的語の文中の位置を入れ替えて、同様の実験を行った。その結果、いずれの場合にも、最初は、「主語優位」の現象が観察され、時間の経過と共にこの優位現象は消滅することが明らかとなった。これは、人間の言語処理が、トップダウン的処理からボトムアップ的処理へと移行することを示唆している。このように、目に見えない要素(空主語)を我々人間がどのようにして理解しているのかという問題に対して、新たな知見が得られた。 日本語の統語解析に関する研究はいくつかあるが、言語学者と心理学者が共同してひとつのテーマに取り組む、こうした認知科学的な研究は従来ほとんどなされてこなかった。従来の枠組みを超えた新しい試みによる成果を得ることができた。今後も、こうした共同研究の中から新しい成果が生み出されると期待される。
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