研究概要 |
本研究では,計算機ホログラムの再生像改善である誤差拡散法について,(1)エッジ強調誤差拡散法を適用した場合の効果の検討,(2)3次元像再生シミュレーションの実現,(3)光学系の特性を考慮した再生像の改善手法についての検討を行った. まず,(1)について,しきい値が入力データによって変化するエッジ強調誤差拡散法を適用した.この方法は,ハーフトーン処理において前処理を行うことなく像のエッジを強調できるものである.ところが,計算機ホログラムに適用すると,従来の誤差拡散法と比較して,パターンが明るく再生され,しかも再生像の評価指数である平均2乗誤差を小さくすることができることが明らかとなった. 次に,(2)について,計算機ホログラムからの3次元像再生をシミュレーションによって実現した.シミュレーションは離散フーリエ変換を用いた計算によって可能であることを示し,シミュレーションによる再生像と光学再生像はよく一致することを確認した. 更に,(3)について,組合せ最適化問題を解くという考えのもとでの再生像の改善方式について検討した.すなわち,CCDカメラで再生像を取り込み,その再生像を良質にするという想定で数値シミュレーションを行った.その解法として,シミュレーテッドアニーリングを適用し,優れた再生像となる計算機ホログラムを構築し,断層タイプの計算機ホログラムの再生像改善を行った.その結果,すべての面で再生像の改善効果が現れ,コスト関数の設定を変えることで再生像の画質が異なってくることが明らかとなった. 以上のことから,更に良質な3次元像再生の可能性を明らかにすることができた.
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