研究概要 |
1.プラズマ中励起種のキャラクタリゼーション 窒素プラズマ中にはN原子(3p^4S_<3/2>→3s^4P_<3/2>→,3p^4P_<3/2>→,3s^4P_<3/2>,3p^4D_<2/3>→3s【lambda bar】E1P^<1/2>),N_2分子(B^3 II_g→A^3Σ_u^+,C^3II_u→B^3II_g),N_2^+イオン(B^2Σ_u^+→X^2Σ_g^+)の励起種が検出された.これらの励起種は,窒素流量・圧力に対して同様な依存性を示した.しかしマイクロ波出力に対しては,出力とともにN原子の発光強度が著しく増加し,500W以上では占める割合が増大した.Gaを入れた場合,500W以上でGa原子(5s^2S_<01/2>→4p^2P_<11/2>,5s^2S_<01/2>→4p^2P_<01/2>)による発光が観察され出力とともに強度が増加したが,それ以下では出現しなかった. 2.GaN結晶成長 プラズマ中にGa原子が出現する高出力条件下で,六方晶GaN多結晶が成長したが,低出力の領域では,結晶は成長せず金属Gaの表面が窒化された.次に長時間高出力可能なアプリケーターを用いて低温での成長実験を行ったが,プラズマ中にGa原子が出現せずバルク単結晶の育成には至らなかった.以上の結果はGaN結晶生成に関与している励起種がN原子とGa原子である可能性を強く示唆している.また,Gaの原子化はプラズマ温度に大きく依存すると考えられる. 3.GaN結晶の光学的評価 成長した試料は,不純物による深い準位からの発光を示さず,バンド端付近に低エネルギー側にショルダーをもつ強い発光を示した.高エネルギー側ピークの温度依存性が自由励起子のそれと一致したことから,この発光は自由励起子の再結合によることが明らかになった.また,低エネルギー側のショルダーは,強励起下で飽和し温度上昇につれて減少することから,局在励起子の再結合によると考えられる.自由励起子によりる光は,室温においても強く観察された.多結晶試料でこのような例は他になく,出発物質に不純物を含まないという本研究の利点が活かされていると考えられる.
|