研究概要 |
微粒子析出の異方性制御を探索する過程で,光ファイバ用ゲルマニウムドープシリカガラスの光感応性,特に高圧水素処理を施した試料がKrFエキシマレーザ照射に対して極めて高い光感応性を示すことを見出した。従ってゲルマニウムドープシリカガラスの紫外可視領域における光吸収,フォトルミネッセンスおよび電子スピン共鳴による調査に重点を置いて研究を行った。 アンジュレータ光を利用した照射実験を分子科学研究所UVSOR BL3A1ラインにて行った。ゲルマニウムドープシリカガラスに36eV光の偏光照射を行い,フォトルミネッセンス測定および電子スピン共鳴の測定を行った。照射時の光化学反応をモニターするために,3.1eVおよび4.2eVにおけるフォトルミネッセンスを観測したところ,フォトルミネッセンスの減衰は拡張指数関数的であり,主として化学反応が酸素空孔などのゲルマニウム関連の欠陥サイトにおいて生じていることが確認された。また,アンジュレータ光照射試料の電子スピン共鳴の測定を行った結果,ゲルマニウムE'中心が観測されたが,その照射光の偏光方向に対する異方性は観測されなかった。 常磁性中心の生成においては、KrFエキシマレーザの2光子過程により生じた電子・正孔対の無輻射緩和過程が支配的な影響をもつことを明らかにした。位相格子を用いて光照射により回折格子を形成し,光誘起屈折率変化を調査した。その結果,屈折率変化と紫外域における光吸収との相関関係を見出した。またシリカガラスへの大線量^<60>Coγ線照射によりシリコン微粒子が生成することを確認し,可視発光を示すことを見出した。
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