研究概要 |
R-L-Diode回路はその単純さにもかかわらず、豊かな分岐現象(周期倍分岐、saddle-node分岐、intermittency,crisis,chaos等)が観測される。我々の様な工学の分野だけでなく物理学の研究者達もこの回路を研究している理由の一つはこの系には人工的(artificial)な部分が全くない自然な系だからと思われる。 1.カオス同期の実験的検証 2.カオス同期の理論的正当化。これによりR-L-Diode回路は、実験/理論両面からカオス同期が確認された数少ない系のひとつとなったと考えられる。 3.より一般廷クラスの非線形ダイナミカルシステムがカオス同期を起こすための十分条件を与え、いくつかの具体的系へ適用した。条件付Lyapunov数を用いないのが本質です。 4.Chaotic maskingはカオス的ふるまいを示す系の状態変数で、情報信号(例えば音声)をおおてしまい(masking)それを通信系を通して送り、受信側で適当な同期系を構成してもとの情報信号を復元しようとするものである。本研究で検討しているR-L-Dide回路で情報信号を音楽として実験を行い、復号可能性を確認した。 5.Maskingに附随して新しいopen problemが二つ発生した: (i)"復号"された信号はもとの情報信号(音楽)の振巾の約70倍となり、カオス同期系に増巾メカニズムが組み込まれている事がわかった。が、何故贈巾が起こるかは未解決である。 (ii)masking schemeが何故働くかも未解決である。 6.関連する研究として、R-L-Diode回路の大域分岐構造を明らかにした。 7.R-L-Diode回路のダイナミクスにTopological Horseshoeが埋め込まれている事も証明した。
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