研究概要 |
本研究は,2足歩行ロボットに対して,次の具体的な目標を明らかにして,歩行環境の変動に強い歩行制御を,高速且つ容易に実現することを目的とする.1)絶対座標系のSagittal PlaneとLateral Planeに対して各々倒立振子モデルによる歩行軌道を生成し,支持脚と遊脚のキネマティクス制御だけで歩行するために,10関節2足歩行ロボットを製作する.2)提案する既約分解表現による2自由度制御系を,試作の2足歩行ロボットの各関節のコントローラに構築する.3)歩行制御を行うキネマティクス制御系をホストコントローラに構築して,歩行環境に強い2足歩行制御を実現する. 本研究は平成7年度と8年度の2年間で完遂させる. 1)の研究目標に対して,対象構造の10関節2足歩行ロボットの製作を完了した.試作1号機は高さが高く自重の慣性モーメントが大きく不適当であったが,試作2号機では高さを1号機より低くすることでこの問題を解決した. 2)の研究目標に対しては,本研究で提案する既約分解表現と外乱オブザ-バによるロバスト安定な2自由度制御系に基づいて,ロバスト位置制御系で各関節のサーボ系を構成した.試作2号機の2足歩行ロボットでは,歩行姿勢による慣性モーメントの変動幅が10倍程度あるので,これに対するロバスト安定性を満足させるように設計した.また,絶対座標系でのSagittal PlaneとLateral Planeとの間の干渉力が各関節のサーボ系に対して外乱として作用するので,これに対する外乱抑圧応答が満足するようにした. 3)の研究目標に対しては,絶対座標で動作記述した2足歩行ロボットの歩行制御のホストコントローラを構成した.支持脚はSagittal PlaneとLateral Planeに対して各々倒立振子モデルによる歩行軌道を生成し,遊脚はこの軌道に対してゼロモーメントポイントを満足する動作記述を行った.実験で3種類の歩幅で安定に3次元動歩行を行うことを確認した. 上記のように,平成7年度と8年度の2年間で,本研究を完了した.
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