研究課題/領域番号 |
07805054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
都市計画・建築計画
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西村 伸也 新潟大学, 工学部, 教授 (50180641)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1996年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1995年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 視点 / 仮想行為 / 設計プロセス / プロトコル分析 / エスキース / 設計教育 / 空間 / イメージ / 設計方法 |
研究概要 |
建築の設計で空間を創造する時、空間の一場面や情景を思い浮かべることが多い。このように設計では、空間に設計者自身が空間を見る目・「視点」を設定していると考えると、この「視点」のあり方や見る対象に、個々の設計方法を区別しその特性を明らかにする「ものさし」の一つがひそんでいると捉えられる。本研究は、設計を進めている時の言葉(プロトコル)とスケッチとを詳細に分析することで、「視点」の特性と設計される空間との構造的な関係を明らかにしようとするものである。特に本研究の中で、「視点」の分割・結合、軸の連結・分岐に大きくかかわると考えられる仮想行為という空間操作の方法が得られた。これを受けて、仮想行為という観点から空間創造の過程を詳細に捉えるために、プロトコルとスケッチの採集を、ビデオ撮影を用いて行った。分析では、長期の設計プロセスを的確に把握するために思考の文節ごとにスケッチとプロトコルとをまとめた「Sketch modul」という分析単位を用いている。空間イメージでの視点・仮想行為と空間の構造との関係を捉えることで、空間の設計がたどる空間の生成過程と、そこに作用する視点・仮想行為の役割を、以下のように捉えることができた。 (1)創造的な設計プロセスは、Sketch modul(視点・空間認識・行為表現)という分析単位によって分析することができる。 (2)このSketch modulの類型の一つであるComplicated moduleは、視点・空間認識・行為表現が最も複雑に関係しているもので、設計の初期に現れる。これは、空間視点の節目に現れ、重要な設計方法となっている。Complicated moduleは、空間を作り出すきっかけとなるものと、認識した空間を整理するためのもの、空間のストックとなるものという、空間生成の機能に対応した類型に分けられる。 (3)sketch modulに表れる「仮想行為」は、方向性を持たない「行為」(category1)と方向性を持つ「行為」(category2)があり、「環境」と「対象」との組み合わせから、11類型の「仮想行為」表現類型が整理される。これは、設計の時の空間創造の方法になっていると思われ、収集されたSketch modulは、すべてこの類型に包含されている。 (4)以上の類型で、空間イメージがしっかりとしているものを「完全系」、不明快で曖昧なものを「不完全系」とした。 (5)空間創造にきっかけを与える場面では、Complicated moduleは不完全な設計行為表現となっている。この不完全な空間認識・表現が、創造的な空間生成のきっかけとなることが捉えられた。
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