研究概要 |
顕微画像より独立な多種のシグナルを得るためには、ラベルとして蛍光色素を用いることがもっとも現実的である。本研究の目的はmRNAを対象としたIn situ hybridizationにおいて多色化(5〜7色)を行うことであった。フィルター法と画像分光法を結びつけることにより、この課題が原則として可能であること実験的にを示した。この目的を達成するために以下のような要素的知見の蓄積あるいは技術開発、モデル実験を行った。(1)適切な色素の組み合わせの選定、(2)プローブへのラベル化法の検討、(3)スペクトルを取得するのに必要なフィルターセットの作成、(4)分光画像の取得と、画像より得られたスペクトルの検討、(5)分光画像のシグナルの波形分離、(6)cytokine mRNA(IFN-g,IL-4)を対象としたin situ hybridization。(1)に関しては、スペクトルの分布、退色、クエンチング、蛍光強度等の点からAlexa488,Alexa532,Alexa546,Alexa568,Alexa594を選択した。(2)に関しては比較的効率的にラベル化可能な方法2種を確認した。(3)に関しては2組に分けた色素のスペクトルが取得できるフィルターセットを作成した。(4)に関しては画像より得られるスペクトルに影響を及ぼす因子を検討した。(5)に関しては、実際に得られた分光画像の波形分離による識別がきわめて有効であることを示した。(6)に関してはIFN-g,IL-4のmRNAに対し極めて明瞭な像が得られることが示された。
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