研究概要 |
新しい骨吸収部を描出するシンチグラフィ核種開発の目的で,以下の検討を行った.合成ウナギカルチトニンアナログをI-125にて標識し,精製後,ラットに静注投与してその体内分布を検討した.またオートラジオグラフィを施行し,骨への集積を検討した.標識カルチトニンは,血中より急速に消失し,肝臓と,腎臓の描出がみられたが,それ以外の臓器にはほとんど集積はみられなかった.一方骨において,成長軟骨部に明瞭な集積が認められた.成長軟骨部は,骨吸収が最も盛んな部分であり,この集積は,骨吸収部への集積と考えられた.更に,この点を明らかにする目的で,骨吸収亢進状態モデルとして,卵巣摘出ラットを作成し,コントロールラットとの比較検討を行った.卵摘ラットにおいて,コントロールラットに比し明らかに成長軟骨部-骨幹端部への集積が亢進し,我々が開発した.放射性物質は,骨吸収亢進を描出するものと考えられた.現在,よりよい標識法と,精製法の開発を進めている.一方,カルチトニン以外に,骨吸収部に積極的に集積すると考えられている第3世代のbisphosphonateに99mTcを標識し検討を行ったが,非標識bisphosphonateは明らかに世代ごとに骨形成部や骨吸収部への集積の特異性が知られているにも関わらず,標識bisphosphonateは世代間において全く差がみられず,血中消失率にのみ差が認められた.今後,より血中消失率の早い骨シンチグラフィ核種が開発される可能性があることが示された.
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