研究課題/領域番号 |
07807111
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
外科学一般
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 助手 (60263084)
|
研究分担者 |
尾崎 信弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (50211818)
|
研究期間 (年度) |
1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1995年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
|
キーワード | FK binding protein12(FKBP12) / FK 506 / plasma FKBP12 / liver transplantation / acute cellular rejection / ELISA |
研究概要 |
我々は細胞外FKBP-12の働きを明らかにするために、FK506の免疫抑制作用に対する細胞外FKBP12の影響をin vitroおよび臨床的に検討した。r-FKBP12はヒト末梢血中単核球に対するFK506の増殖抑制作用を濃度依存的に阻害した。生体肝移植の術後にFK506を投与された34例の血漿中FKBP-12をELISAによって測定した結果、急性細胞性拒絶反応を呈した7例においては、拒絶発症時の血漿中FKBPが発症の1週間前に比較して有意に上昇しており、発症後1週間後も250ng/mlと高値が持続した。急性細胞性拒絶反応を生じなかった27例中22例では、移植後4週間にわたって血漿中FKBP12は70ng/ml以下であり、他の5例では血漿中FKBP12は250ng/ml以上を呈した。このうち血漿中FKBP12の急激な上昇を認めたのは肝腫瘍による高熱を呈した1例のみであった。急性細胞性拒絶反応を発症した症例と発症しなかった症例との間に全血中のFK506トラフ レベルに有意差はなかった。これらの結果より血漿中FKBP12の急激な上昇は、FK506の免疫抑制作用を阻害することによって急性細胞拒絶性反応の発症と進行に関与しているものと推測される。 また初代肝細胞培養において、培養液中にr-FKBPを加えると濃度依存的に肝細胞のviabilityが低下することが判明し、拒絶反応時に上昇する血漿中FKBP自身に肝障害を助長している可能性がある。さらに原発性胆汁性硬化症や抗核抗体陽性の肝細胞癌患者においては血漿中FKBP12が1000ng/ml以上の症例があり、FKBP12が自己免疫疾患とも何らかの関係があるのではないかと推測される。 なお肝組織内のFKBP12の分布を免疫組織染色を用いて検索すると、肝細胞の核おび先天性胆道閉鎖症における擬胆管の核に存在することが判明したが、FKBP12を細胞外に分泌している細胞の同定は困難であった。
|