研究概要 |
ラットを用いた自家培養細胞の作成:正常ラットを用い,自家組織よりの細胞系列(線維芽細胞,横紋筋細胞,シュワン細胞)を作成し,これを同系のラットに移植,どの種類の細胞系列が移植細胞として適しているかを検討した.その結果,移植後の増殖度,長期生存に関しては,シュワン細胞が適していたが,細胞系列の作成の難易度からみると,線維芽細胞,横紋筋細胞の方が容易であった. 自家培養細胞への遺伝子導入:上記の3種類の細胞に,増殖力を増すためのc-fosのcDNA,分泌を目的とするオピエイト(β-エンドルフィン)のcDNA,更にこれらの上流に位置しステロイドに反応し発現を調節するプロモーター遺伝子を導入する操作を行なった.なおプロモーターは従来より我々が使用していたメタロチオネインに換えて,より臨床的に使いやすいMMTVを用いた.これらの細胞の,in vitroにおける動態,β-エンドルフィンの分泌能及びそのステロイド投与による調節具合を検討した.その結果,RT-PCR法などにて,細胞自体の中でのステロイド投与によるβ-エンドルフィンの発現調節は可能であったが,培養液の検索で得られた細胞外への分泌は軽度であった.これは,細胞の性質によりβ-エンドルフィンの分泌に問題があるのか,または組み込んだβ-エンドルフィンのDNAの問題か検討を要する.そのため,現在PC12細胞など別の性質の細胞に同様の遺伝子操作を行ない検討中である.そのため,疼痛モデルラットにおける検討は今後の課題である.
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