研究概要 |
中枢神経における疼痛刺激に対する抑制系の作用の程度を臨床の場で簡便に評価できる方法は確立さていない。そこで,漸増する経皮電気刺激を行い,最初の最も強く感じられる刺激と終わりの刺激の程度が等しく感じられる電気刺激の漸増の程度(以下漸増率)を測定することにより抑制系の作用(の一部でも)の程度を推測できるのではないかと考え研究を行った。 実験方法:パルス数6,パルス周期2秒,デユ-テイ20%,出力電圧2〜10V,インターバル5秒,繰り返しの度に3または5%の出力電圧増加の設定とした。刺激電極は使い捨て鍼灸針と心電図用電極を用いた。結果:健康成人における漸増率は11.9±6.9(平均±標準偏差)%であった。有痛患者で有痛部に最も近い部位で,有痛時(VAS>30mm)と治癒時(VAS<30mm)で比較すると,漸増率は有痛時には平均0.3±0.9%であったが治癒時には10.4±6.5%と有意に上昇した。有痛時には上下肢共に低値となったが,有痛部と最も部位での漸増率は有意に高かった。有痛部位に最も近い部位とその対肢(上肢に対して下肢,下肢に対して上肢)の漸増率に有意な相関がみられた。
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