研究概要 |
スピーチエイド装着下における持続的鼻腔内陽圧負荷(CPAP:Continuous Positive Air Pressure)療法によって鼻咽腔閉鎖機能が改善される可能性を口蓋帆挙筋筋電図を指標に平成8年度に検討した.その結果,鼻咽腔閉鎖不全症に起因する異常構音を呈さない症例では鼻腔内に陽圧を負荷した際に口蓋帆挙筋活動が高くなることが示され,実質的鼻咽腔閉鎖不全症例であっても,スピーチエイドによって鼻咽腔閉鎖不全状態を改善した条件の下ではCPAPが奏効する可能性が示唆された.しかしながら,スピーチエイド非装着症例での結果とは異なり,鼻腔内圧との相関性は明確でなく,鼻腔内圧の口蓋帆挙筋活動に対する影響は直接的でないことが示唆された. 今年度は,PLP症例を対象にCPAP療法を臨床使用した結果,PLPの適合性がCPAPの効果を左右することが示された.すなわち,PLPの鼻咽腔閉鎖機能への適合度が高い症例では,CPAPによる効果が期待できるものの,適合度の低い症例では鼻腔内へ吹送した空気が口腔側へ漏出することによって鼻腔内陽圧が形成されない結果,CPAPの効果が期待できなかった.今後は,PLPならびにBulb-PLPの適合度を評価する方法を考案し,その評価法に基づいて適合度を向上させた後にCPAPを行ない,当初の目的を達成する必要がある.
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