研究概要 |
本研究は義歯構成要素を一体化するにあたり,鑞着法以外の咬合様式の究明および鑞着法との比較を行うことが目的であり,義歯に対して導入可能なレジン包理法を実験条件として採用した. 前年度の研究成果を参考に,突き合わせ接合(バットジョイント),重ね接合,T字接合の3種類のフレームワークを設計し,コバルトクロム合金を用いて鋳造製作した.また突き合わせ接合は鑞着したものとしないものの2種類としたが,重ね接合は鑞着を行ったもの,T字接合は鑞着を行わなかったものだけとした.鑞着は14カラット金鑞を使用し,鑞着間隙は0.3mmに規定した.各フレームワークは酸化アルミナサンドブラスト処理後,接着性床用レジンにより包理し一体化を図った.さらにコントロールとして,レジン単体試料も別に製作し比較試料とした.試料は5個ずつの計25個を製作し,万能試験機を用いてクロスヘッドスピード2mm/min,支持点間距離30.0mmで3点曲げ試験を行い,以下の知見を得た. 1.平面的な継手形態の最大剛性は,鑞着を行ってもコントロールとほぼ同等であったが,T字接合は約2倍の大きな値を示した. 2.降伏点荷重量は鑞着試料がコントロールと同等がやや低い値を示したのに対し,T字接合は鑞着試料より大きな値を示した. 以上のことから,継手の立体的構築により鑞着を行わなくても強度的に十分な接合が可能になるものと思われる.
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