研究概要 |
本研究の目的は,わが国の看護系学校における情報処理教育や看護情報学教育の現状を見直すとともに,看護情報学の基礎教育のあり方,枠組,内容を再検討し,看護学生のためのネットワークを利用した教育システムを考案することにある。本研究の成果は,以下の通りである。 1.平成7年度は,243人の看護学生を対象に,情報処理の知識及び技術の程度や看護情報学教育に対する意識等を調査した。その結果,看護学生が看護情報学の基礎を効果的に学習するには,授業時間は少なくとも45時間は必要であることが明らかになった。さらに,130人の看護婦を対象とした調査では,多くの看護婦が,インターネットや情報科学は看護実践に役立つものであると考えていることが明らかになった。 2.無線通信機能を使い,サーバーとしてノート型パソコン1台と5台の携帯端末とにより構成した「簡易ネットワーク演習システム」を試作した。これを看護学生の情報科学の授業で使い,LANの仕組や使い方等についての演習を実施した。演習後の調査では,LANの仕組をよく理解できない学生も少なくなかったが,多くの学生が授業に興味を持ち,約半数以上の学生がインターネットについて,さらに学習したいとの要望をもっていた。総合的にみて,この「簡易ネットワーク演習システム」は看護学生の情報処理教育に有用であることが確認できた。 3.平成8年度は,全国の看護系学校1093校を対象に,「看護学生のための情報科学教育方法に関する全国調査」を実施し,情報科学関連科目,授業担当者,情報処理教育用設備,授業内容等の現状について検討した。その結果,回収された580校の内の45%が情報科学教育を実施しており,12%の学校が情報ネットワークを保有していた。 以上のことを踏まえ,看護学生のためのネットワーク・システムを使った漢語情報学の基礎教育のあり方・方法を提案した。
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