プラズマ・メーザー効果の発現には、外磁場効果による非等方性や空間不均一による非一様性に起因する対称性の破れが不可欠である。本研究ではプラズマ・メーザーの物理を対称性の破れの見地から解明した。 1.外磁場効果の為の非等方性によるオンサーガ-の相反定理の破れ 温度の非等方性が存在するといわゆるダイナモ電流が流れる。この時、プラズマ中の静電波と電磁波では異なる対称性を満たす。静電波動は元来のオンサーガ-の相反定理を満足する電磁波動は修正された対称性を持つ。その理由は、キューリ-の対称性の原理から電場と磁場は異なるベクトル性を有するためであると考えられる。 2.空間不均一による非一様性に起因する対称性の破れ 密度勾配を持つプラズマに固有なドリフト波動に対するオンサーガの相反定理を調べた。この時、いわゆる密度勾配に起因する反磁性電流が対称性を破る。特に、静電波動は対称性を失う。然し、電磁波動はいわゆる局所モードの時に限り完全にオンサーガ-の相反定理を満足する。 プラズマ・メーザー効果におけるマンリー・ロ-関係式の破れ マンリー・ロ-関係式は非線形プラズマ物理で最も基本的な法則であるが、その成立にはエネルギー散逸過程が存在しないことが必要である。一方、プラズマ・メーザーではランダウ減衰という散逸過程が共存するのでマンリー・ロ-関係式の破れが予想されていた。本研究で、上記予想が始めて確認された。
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