研究課題/領域番号 |
07808087
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経解剖学・神経病理学
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研究機関 | 高知医科大学 |
研究代表者 |
小川 正晴 高知医科大学, 医学部・生理学, 助教授 (50111951)
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研究分担者 |
仲嶋 一範 理化学研究所, ライフサイエンス筑波研究センター, 助手 (90280734)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1995年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 神経発生 / 大脳皮質 / 層状配列 / リーラーミュータントマウス / カハール・レチウス細胞 / 細胞・細胞間相互作用 / CR-50 |
研究概要 |
大脳新皮質では、ニューロンが水平方向に6層をなして配列され、同一層内のニューロンは共通の形態と生理機能を備えている。更に誕生時期が早いものほど内側(脳室側)に、新しいものが外側(軟膜側)にと、いわゆるinside-outにと並んでいる。神経系ミュータントマウスのリーラー(reeler)では、皮質ニューロンがほぼ逆転してoutside-inにと配列され、リーラー遺伝子が皮質ニューロン配列に重要な役割を担っていることが指摘されてきた。本研究ではリーラーにおける皮質ニューロンの配列異常の原因、ならびに皮質ニューロンの規則的な配列に関与する特定の分子を明らかにした。得られた結果を箇条書きすると、(1)リーラーでは、皮質に最初に現われるニューロンのCajal-Retzius neuronsと遅れて発生するcortical plate neurons間の細胞-細胞間相互作用に異常があること、この相互作用が皮質ニューロンの配列に重要な過程であることを明らかにした。(2)リーラーと正常動物間で、リーラーをホストとして正常胎仔脳で免疫感作を行った場合に、一種類の同種間抗体が形成された。抗体はリーラーに欠損し、正常動物に発現される分子を認識し、またその組織結合部位はリーラーにおける異常形態発生部位と一致した。大脳皮質では、Cajal-Retzius neuronsのみに結合した。(3)モノクローナル抗体CR-50を作製し、CR-50抗原分子がCajal-Retzius neuronsで産生され、生きた同細胞の細胞表面に特異的に集積することを明らかにした。(4)分離した皮質細胞を再凝集培養すると、皮質ニューロンは凝集塊内においてgenotypeに依存した配列を行う。CR-50存在下にwild-typeの皮質細胞を再凝集培養するとリーラータイプの凝集塊が形成された。これらの結果から、脳室壁で誕生する皮質ニューロンは辺縁層へと移動した後、最表面側部に存在するCajal-Retzius neuronsとの相互作用によってその定着すべき位置情報が伝達されること、この際の相互作用がCR-50で認識される分子によって制御されていることが示唆された。
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