研究課題/領域番号 |
07808094
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
深間内 文彦 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助教授 (90240746)
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研究分担者 |
日下部 守昭 理化学研究所, 実験動物室, 室長 (60153277)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1995年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 細胞接着分子 / 標的遺伝子組換え / キメラマウス |
研究概要 |
神経細胞接着分子F3は培養神経細胞の表面に存在し、可溶性の分子として培地にも放出される135kDaの糖タンパク質である。生化学的研究と分子生物学的研究から、この分子がHNK-1ファミリーとイムノグロブリンスーパージーンファミリーという細胞間相互作用に関与する二つのファミリーに属することが明らかとなっている。さらに、F3はイムノグロブリンC2型とファイブロネクチンIII型という異なる二種のドメインを持っている。この組み合わせは、主に軸索表面に局在する糖タンパク質にしばしばみられるものである。F3の発現も初代培養細胞では主に神経突起に、in vivoでは軸索路に限局されている。この分子の発現は、軸索伸長とシナプス形成が起こる生後発生の時期にピークを持つように制御されていることが分かっている。機能的には神経細胞間のヘテロフィリックな相互作用を媒介し、神経突起伸長のような基本的な発生現象を制御しうることが示されている。以上の事実は、発生過程におけるF3発現の制御が神経系の形態形成において基本的な重要性を持つことを示唆している。ところで、近年開発された標識遺伝子組換え技術は、特定の狙った遺伝子に改変を起こす技術であり、個体発生、成長、成熟、老化のすべての時期を通して、個体レベルで、特定遺伝子の機能を追跡、解析することを可能にした。 申請者らはこのF3遺伝子(第2エクソン)を標的遺伝子組換え技術により廃絶させたマウスを作製するために、マウスのゲノムF3遺伝子の一部の塩素配列を決定し、薬剤選択マーカー遺伝子を接続した相同組換えベクターを用いて導入遺伝子を構築し、電気穿孔法によりマウス胚性幹細胞(ES細胞)に導入した。その後、Capecchiらが開発したpositive-negative selection法に従い、G418とガンシクロビルの両薬剤に対して耐性のES細胞のコロニーをin vitroで単一コロニーごとに実体顕微鏡下で拾いクローニングした。その後、ある程度ES細胞のコロニーが増殖したらトリプシン処理を行ない一部を凍結保存し、残りをパッセージし培養を続け、サザンブロットによる解析をした。目的とする相同遺伝子組換えを起こしたクローンを同定した後、そのクローンの凍結細胞を融解し、マウス受精卵へマイクロインジェクションした。しかし、このマイクロインジェクション法では卵の発生が阻止されることが度々生じたため、凝集法に変更しやっとキメラマウスを得た。現在、正常マウスとの交配により生殖細胞を通じて子孫に同様に伝達されていくかどうかを確認しているところである。
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