研究課題/領域番号 |
07834002
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 時限 |
研究分野 |
知的所有権法
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
辻 正美 京都大学, 法学研究科, 教授 (40093273)
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研究分担者 |
伊藤 孝夫 京都大学, 法学研究科, 助教授 (50213046)
北川 善太郎 名城大学, 法学部, 教授 (30025142)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1996年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1995年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
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キーワード | 著作権 / 意匠権 / 伝統産業 / 応用美術 / 出版 / マルチメディア / 美術著作物 |
研究概要 |
本研究は、歴史的視点と比較法的視点から、美術著作物の保護法制のあり方を探究することを課題とした。第一に、特に京都の伝統産業を素材とし、その所産としての美術的創作物(織物・染織・書画など)と西欧から移植された著作権法制との関わりの解明に重点を置いた。資料の収集・分析と関係者へのインタビューを含む実態調査を通じて得られた結論は以下の通りである。日本の伝統的産業諸分野において、その秩序には近世に発達した「仲間法」的な構造が貫徹しており、その創作物の権利関係は第一次的には同業者間の内部的規制によって規律されていた。出版業においては、この内部的規範を基礎とし当時の出版技術との連関の下に、近代的意義における著作権と類似しつつまた多くの点で異質な、独特な「板株」の権利構造が成立していた。このような構造は、明治維新後、いわゆる株仲間廃止後も、同業組合を中心とする業界内秩序を生み出し、明治30年代の知的財産法制整備以後も一定程度機能し続けてきた。著作権法と意匠法との狭間に置かれた応用美術の権利保護は、このような業界内秩序によって補完されており、現在においても、業界内の紛争解決に貢献している日本染織意匠保護協会の活動もこのような観点から注目される。しかしこうした構造が、将来における知的財産制度全般においても妥当するか否かは確言できない。将来の制度設計に関し本研究では第二に、美術著作物をめぐる内外の判例の収集・分析と、またマルチメディアの発達にともなう著作権法制の問題点の摘出・分析を行った。「板株」の事例も示唆するようにメディアの技術的条件は制度設計に大きな影響を及ぼしうる。高度情報化社会が生じ出す新たな著作物とその利用形態に応じた権利保護システムに関して、本研究では一定の制度設計の提案をも準備したが、その具体化はなお今後の動向をふまえ慎重な検討を積み重ねる必要がある。
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