研究課題/領域番号 |
07837006
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
極微細構造工学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
時崎 高志 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 講師 (20207541)
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研究分担者 |
中村 新男 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (50159068)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
1995年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | II-VI族半導体 / 半導体超格子 / 光学非線形性 / 励起子 / 超高速緩和 / フェムト秒分光 |
研究概要 |
可視・紫外領域の光デバイス材料として注目されるZnSe系多重量子井戸の光学非線形応答特性を調べるためにフェムト秒過渡分光を行った。本年度は、特にアップコンバージョン法を用いた時間分解発光測定により励起子が生成・消滅する過程を直接的に観察し、過渡吸収分光により得られた非線形応答特性との比較から、励起子が非線形光学応答にどのように関与しているかを詳しく調べた。 1.試料の励起波長を380nmから430nmまで変えて励起子の時間分解発光測定を行った。その結果、励起子が生成する時間は1.5psから0.5psまで短くなることが観測された。この時間は、光励起されたキャリアの初期運動エネルギーとほぼ線形の関係にあり、キャリアが光学フォノンを放出してバンド内を緩和する時間によって決まっていると考えられた。 2.発光測定と同様の励起波長を用いて過渡吸収測定を行った。さらに得られた過渡スペクトルをスペクトル分解することにより、非線形応答の定量化を行った。その結果、励起後1ps程度の非常に早い段階では、励起子吸収帯の幅の増大が吸収スペクトルの変化を与えていることが分かった。また、幅の増大の立ち上がり、立ち下がり時間とも励起波長を長くすることで短縮することが分かった。また、立ち下がるまでの時間は、発光から求めた励起子の生成時間とほぼ一致していると見られる。 3.以上の結果を総合すると、非線形応答の初期過程は励起子吸収帯の幅の増加によるものであり、その応答時間は励起子生成時間で決定されていることが分かった。また、幅の増大の起源としては、励起子と自由なキャリアとの衝突による励起子コヒーレンスの消滅が考えられる。当初予定された励起子共鳴励起の実験は、レーザー共振器内の水蒸気成分によりレーザーが発振しないために不可能となった。今後はレーザーの密閉度を高めて窒素パ-ジを厳重に行って実験を行う予定である。
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