研究概要 |
4種の無尾両生類(Rana nigromaculata, Rana catebeiana, Bufo bufo japonicus, Xenopus laevis)を用いて、カエルロドビシンの抗体(BufoRh-As)による免疫組織化学を行った。すべての種で、BufoRh-Asは網膜の杆体の外節を染めた。トノサマガエルの松果体のろ胞に突出したpinealocyteの外節もよく染まった。ウシガエルとヒキガエルの脳視床下部の視交差上核、視索前核の細胞の細胞質と突起が染まった。以上の結果は、ウシロドブシン抗血清によるウシガエルでの結果とほぼ同様であり、カエルの松果体および脳にロドブシン様物質が存在することを強く示唆している。ヒキガエル視床下部cDNAライブラリーから視物質遺伝子のPCR産物をクローニングし、ビノブシン様視物質を明らかにした。このtoad deep brain photoreceptor (toad DBP)のアミノ酸配列はニワトリビノブシンと76%、ニワトリロドブシンと49%、カエルロドブシンと46%のホモロジーを示した。系統樹では、グループL(赤視物質)から分岐するビノブシングループに入ることがあきらかになった。 カエルの概日時計機構:眼球除去を行なったカエルは、LD 12:12のもとで、やはり夜行性を示し、その恒暗条件のもとでのフリーラン周期は正常なものに比べ顕著に減少した。また、恒明条件下でのフリーラニング周期の短縮は起こらなかった。視床下部視交差上核の電気的破壊を行ったところ、70%以上が破壊されたカエルにおいて、フリーランニングリズムが消失した。また、破壊の程度が70%以下の場合、57%のカエルでリズムが消失した。以上の結果により、アフリカツメガエルは、眼以外の場所、視床下部の視交差上核に概日時計をもっている可能性が示唆された。また、眼を除去することにより、フリーラニング周期が顕著に減少したことから、眼も概日時計の一部として関与していることが明かとなった。恒常条件下での光の強度によりフリーラニング周期が変化するというAschoffの法則は眼を除去したときには見られないことから、この現象に関しては、眼による光受容が重要でることがわかった。
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