研究概要 |
当研究室で開発したフィトクロムAに対するモノクローナルIgGであるMep1はラージフィトクロム(N末端側51個のアミノ酸を欠くフィトクロムの断片で赤色光照射による光平衡状態の吸収スペクトルのPfrピークが低いという特徴を示す)と結合すると,その光平衡状態でのPfrの比率を大きく増加させる。他の場所に結合する抗フィトクロムIgGはその様な作用を全く持たないので,Mep1の結合サイトはフィトクロムの色素団-タンパク質相互作用に重要な部位と考えられる。そこでファージランダムペプチドライブラリーを用いてMep1の詳細な結合部域の同定を試みた。Mep-1に結合するファージクローンを数十個得てそのランダム部分の配列を調べたところ、共通する配列からDGLLまたはDGFLという配列が結合部域であると推定された。ペプチドマップの結果から,Mep1の結合サイトとして分かっているN末端側から256番目から383番目のフィトクロムのアミノ酸配列と比較したところ,354番目のアミノ酸から始まるDAVLという配列が第一候補をして挙げられたので,この前後を含め352番目からのSADAVLPQというペプチドを合成してMep1との結合性を調べたところ,確かにこの部域に結合することが分かった。ファージライブラリーを用いる方法はタンパク質のどの部分が他のタンパク質に結合しているかについての解析に有用であることが分かった他にフィトクロムAの354番目付近が表面に露出する構造であること,それが色素団と相互作用する部分であることが示唆された。この近傍の365番目のWは我々のUVラマン等の研究によりPrで強く色素団と相互作用する部位だと推定されているので,この付近はPrでは色素団と,PfrではN末端の53個のアミノ酸と近接する部分であることが示唆された。Pfr特異的に結合するペプチド配列についても現在調べている。
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