研究課題/領域番号 |
07852012
|
研究種目 |
奨励研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
政治学
|
研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
小林 誠 立命館大学, 国際関係学部, 専任講師 (60257813)
|
研究期間 (年度) |
1995
|
研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
|
配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
|
キーワード | 国際関係 / 国際政治 / ネオリアリズム / ネオリベラリズム / 北米自由貿易協定 / 国家間システム / 世界社会システム / ヘゲモニ- |
研究概要 |
本研究の目的は二重に設定された。第一に国際関係の理論研究であり、第二に北米自由貿易協定(NAFTA)に関する実証研究である。これらを相互に関連させながら研究を進めた。 国際関係理論に関しては、以下の知見が得られた。まず、国際関係というデイシプリンの定義は、有力な学派であるリアリズムが主に提供してきており、認識論的なレヴェルでリアリズムと齟齬する諸理論は、国際関係の範疇に含まれないものとしてディシプリンの周縁に置かれた。この「定義の発動による排除性」に、国際関係学の最大の特色がある。第二に、現在、ディシプリン内論争がネオリアリズムとネオリベラリズムの対抗図式に収斂しつつあるが、国家の措定レヴェルでの歩み寄りが見られ、これにより異質な理論の排除は強まった。従って、今後は国際関係という設定自体を問い直し、ディシプリンの封鎖を解く必要がある。 以上のような見解を下敷きにしたとき、NAFTAは次のような意味を持つと分析された。まず、国家アクターどうしの対立ゲームか協調ゲームかというネオリアリズム対ネオリベラリズム論争の争点からは、NAFTAは十分に分析できない。そのどちらでもないからである。国家そのものを、少なくとも国家間システムと世界社会システムの二層構造からとらえ直す必要がある。そうすると第二に、米国を中心としたトランスナショナルなヘゲモニ-の形成と、メキシコにおける革命以降の「第二国家」の終焉との連関として、NAFTAがとらえられる。第三に、こうしたNAFTAの分析は、ポスト冷戦期における世界政治の構造変更を先取的に描くことにつながると推測される。
|