企業のモデル 企業を、生産のための資産(生産手段)と人間(労働者)とが有機的に組織づけられた生産主体として捉え、その上で経済における生産の均衡について考えた。一般的には、生産の均衡の存在は保証されないので、まず第一段階として二企業による生産の均衡の存在を確認した。(現在進行中) 2.コ-ポレート・デモクラシーに関する数理分析 1で考えた企業のモデルは、生産のための資産の所有と経営が一致した、いわば初期の資本主義的企業を対象としている。これに対し、今日の主要な企業では、生産のための資産の所有と経営は高度に分離しており、そこでは資産の所有者の数が非常におおいという特徴を有している。そこでは、コ-ポレート・デモクラシー、つまり資産の所有者の意志が経営上の決定に十分反映されているかどうかが大きな問題として残る。なぜなら、資本主義的企業とは、本質的に、生産のための資産に関する決定権を、その資産の所有者に賦与することにより、生産の効率性を維持しようとする生産システムだからである。コ-ポレート・デモクラシーに関する議論の歴史は古いが、数理モデルを用いてこれを分析したものは、私の知る範囲ではない。(現在進行中) 3.所有と経営の分離における企業の諸形態 生産のための資産の所有形態のうち、ひとつの興味深い現象として、従業員持株制度に着目し、その経済的帰結を実証的に検証したい。(現在、データを収集し、その利用可能性を検討中.)
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