研究課題/領域番号 |
07854021
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理学一般
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
菊池 誠 大阪大学, 理学部, 助教授 (50195210)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 交通流 / 計算機シミュレーション / カオス / 1 / fゆらぎ |
研究概要 |
本課題では、道路上の自動車交通流を非線形動力学の問題とみなして統計物理学の立場から議論した。 追い越しを許さないサ-キット上の交通流をモデル化するために、結合写像の方法を用いた一次元モデルを提案した。これは離散時間のもとでのモデルであり、各車両の運動を、現在の速度と車間距離をインプットとして次の時刻の速度を与える写像によって表現する。特に現実の交通流では、車両ごとに好みの速度があることと、速度は一定ではなく揺らぐという二種類のランダムネスが重要であると考えて、それらの効果を取り入れた。速度の揺らぎは決定論的カオスによって導入した。計算機シミュレーションによって、このモデルが現実の交通流で観測される密度・流量関係をよく再現することを確かめた。特に、自由流から渋滞流までをひとつのモデルで記述できたことは重要な成果である。これらの事実より、本モデルは道路設計等の工学的・現実的応用にも使えるものであると思われる。 また、このモデルを用いて、局所的な密度ゆらぎのパワースペクトルを調べたところ、1/f型の揺らぎが見出された。これは現実に観測されるものとよく一致する。これまでにも1/f型の揺らぎを生じるモデルは2、3提唱されているが、本モデルは自由流の領域での緩和過程でこの揺らぎを発生するという点が他と異なる。他モデルとの関係は今後の研究に残される。 さらに2次元交通流を表現するセルオートマトンモデルについても計算機シミュレーションを行い、渋滞発生密度付近の有限の領域で相関関数がべ巾乗則に従うことを見出した。
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