研究課題/領域番号 |
07854026
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研究種目 |
奨励研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
層位・古生物学
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研究機関 | 国立科学博物館 |
研究代表者 |
甲能 直樹 国立科学博物館, 地学研究部・古生物第三研究室, 研究官 (20250136)
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研究期間 (年度) |
1995
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研究課題ステータス |
完了 (1995年度)
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配分額 *注記 |
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1995年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 中枢神経 / 脳 / エンドキャスト / 食肉目 / 鰭脚類 / セイウチ科 / 機能形態学 / 行動様式 |
研究概要 |
本年度の研究では、最古のセイウチPrototaria planicephalaとカリフォルニアの中期中新世から知られるNeotherium mirum(以下化石セイウチ類と略)の脳の印象模型(エンドキャスト)の比較神経解剖学的な記載を行ない、電気神経生理学によって明らかにされている現生食肉類の脳の機能分布との比較に基づいて化石セイウチの機能分布地図を復元した(投稿準備中)。この過程で、化石セイウチと現生セイウチおよび最古の鰭脚類、Enaliarctosmealsiとの解剖学的特徴を比較検討し、とくに各大脳溝および大脳回(いわゆる脳の皺)の相対的な位置と広さについて比較検討を進めた。 最古の鰭脚類と化石セイウチ類では、現生鰭脚類に見られるような嗅神経の退縮は認められず、陸上での嗅感覚への依存度は現生鰭脚類よりも極めて高いことが推定された。一方で、大脳からの上顎神経節は極めてよく発達しており、上唇部を中心とした領域の感覚機能はすでに現生鰭脚類と同程度に発達していたことが明らかになった。また、大脳前部の後S字状脳回(顔面の運動機能と関連)や前側頭部の冠状脳回(洞毛の発達と関連)が最初期の鰭脚類ですでに著しく拡大していることから、顔面の運動機能と感覚機能の発達が鰭脚類の進化の初期にはとくに重要であったことが明らかになった。しかしながら、化石セイウチ類と現生セイウチとの間の大脳形態のギャップは大きく、魚食性から貝食性への変化過程については、さらに詳しい大脳表面の解析が必要である。
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