研究概要 |
1.発生生物学的記述 ショウジョウバエ飛翔筋DLMを支配する運動ニューロンのさなぎ期における発生を次のようにして記述した。まず、DLM形成の際に芯になると考えられている終令幼虫の中胸の筋細胞を同定しなければならないが、この中胸に関しては筋細胞の正確な同定がなされていないので、最初にこれを行った。次に、抗HRP抗体(神経特異的に結合することが知られている。Jan & Jan, 1982)を使ってDLMの運動神経の全体像を観察し、幼虫から成虫への変化を追跡している。さらに、個々のニューロンについて調べるため、蛍光色素、DiIを末梢から注入して細胞体を同定することを試みているが、今のところ正確な同定には至っていない。 2.飛翔異常突然変異体のスクリーニング DLMを支配する運動ニューロンの標的認識が異常であれば飛翔行動に異常が見られると予測されるので、シャーレから逃げ出すことのできないハエを選び出す方法によってエンハンサートラップ系統のスクリーニングを行った。今回は、レポーター遺伝子としてkinesinとlacZの融合遺伝子を持つKZIRAP(Giniger et al. 1993)の挿入系統を樹立し、運動神経軸索でlacZの発現が見られれるようにしている。現在のところ、49系統の飛翔異常系統を単離した。今後、このスクリーニングを続け、それらをさらに形態学的にスクリーニングすることによってDLMの標的認識が異常な突然変異体を単離、解析する予定である。
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