本研究ではパーティクルガンが固体表面修飾に用いることが出来る技術であることを示すために、窒素ガス式パーティクルガンの試作と性能評価を行った。本来、パーティクルガンは生体に遺伝子を導入する目的で考案された技術である。射出子を打ち出す圧縮ガスが激しく被修飾物を叩くことによるダメ-ジを防ぐために、射出子ストッパー側面にガス抜き穴をもうけることが推奨されている。本研究は高分子超薄膜のような非常に脆弱な材料に対して表面修飾を行うことを目標の一つとしている。したがって、ガス抜きの発想を更に押し進め、従来は一つの真空容器中にセットされていた射出子打ち出し部とサンプル部を事実上2つの真空容器に分割して収納し、射出子打ち出しに伴うガスをすみやかに容器外へ排出することでサンプル部でのガス圧衝撃を最小限に押さえることを試みた。このことで脆弱な材料の表面に他の物質を固定できるのではないかと考えた。 実験では高圧ガスが射出子と銃身の隙間からふき抜いてしまい、脆弱な高分子超薄膜(厚さ70から80オングストローム)は破壊されてしまった。ごく一般的な鋼管を銃身に用いたために、内径の加工精度を上げることが出来なかったことが主たる原因である。しかしながら、ガス圧衝撃に耐える厚さのフィルムを用いれば、金粒子の直接打ち込みによる穿孔加工が可能であった。 本研究によって、空気銃の機構を利用した市販品を改造することで所期の目的を達成できることが明らかになった。
|