研究概要 |
イオンビームミキシング法による成膜と同時に摩擦することで鏡面を得るという新しい研磨法の基本的特性を得ることを目的とする本研究において,実施された研究内容は以下のとうりである。 1)炭素のイオンビームスパッタリングと窒素ガスイオンのイオン注入を同時に行う,いわゆるイオンビームミキシング法により窒化炭素膜をシリコン基板上に成膜した. 2)ESCAで表面の成分分析を行ったところ,窒素が20%注入されていることが明らかになった. 3)窒化炭素膜の高真空中での摩擦実験を行ったところ,摩擦係数は室温で約0.1であり,摩擦痕は光学顕微鏡では観察できなかった.一方,窒素ガスイオンを注入しながら,摩擦実験を行ったところ摩擦係数は,注入しない場合に比べて約10倍の1.0となり,かつ摩擦痕が観察された. 4)窒素イオンの注入による効果として,窒化炭素膜が擬似的に高温になると仮定し,窒化炭素膜の温度による摩擦係数の変化を測定した.その結果,70度以上で摩擦係数の急激な減少が観察された.これより,イオン注入の効果としては基板の加熱効果以外の効果と考えられる. 5)現在,イオンビームミキシング法により成膜しながら摩擦した場合のイオンビームの効果について検討中である.
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