研究概要 |
宇宙遠隔操作のような極限作業ロボットは高い信頼性を得るため,スレーブアームの安全性を十分に考慮する必要がある.そのためには,スレーブアームに身を守るための自律機能の研究を付加することが重要である.本研究ではスレーブアームにおける自己保存のための自律機能を目的としている.このため,自律的に危険を回避する機能と,危険を察知した場合効果的にオペレータに情報を呈示する機能の研究が必要である.本年度の研究の成果を以下に示す. (1)スレーブアームにとって過大な関節角速度を発生させる特異点における制御をヤコビ行列の余因子行列を用いることで安全に制御する手法を提案した.本手法はオペレータの指令方向だけを取り出し,その角速度の大きさを適当に変化させることで,過大な関節角速度を発生させることなく安全に特異点での制御を実現する手法である.オペレータでは,制御できない正確な方向をスレーブアームが自律的に解釈実行する. (2)従来,手先が障害物に接触するかは実画像を見ることによりおおよその見当をつけることができた.しかし,リンクが障害物に接触するかどうかをオペレータが認知することは困難である.そこで,障害物にリンクが接触するかどうかを計算機により検索し,接触しない安全な領域を手先位置レベルでオペレータに呈示する手法を提案した.さらに,より効果的に情報を呈示するためにマスタアームを用いて拘束感を与えることにより,危険領域の呈示を行う手法を提案し,有効性を実験により検証した. 以上より,スレーブアームにおける自己保存のための自律機能の研究に関する基礎を確立した.
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