研究概要 |
スイッチド・リラクタンスモータ(以下SRM)の制御法の確立を目指し,以下のような研究を行った。 (1)進み角制御を導入し,特性の改善を図った。 本電動機では,回転子の位置に同期して励磁を切り替える必要がある。しかしながら,励磁を開始しても瞬時には電流が立ち上がらないため,特に高速運転時においては,早めに固定子に励磁電流を印加する,進み角制御を導入した。 (2)パルス幅制御を導入し,特性の改善を図った。 各相に励磁した方形波電圧により流れる電流は,励磁を終えても瞬時には切れず流れ続けてしまう。この電流は逆トルクを発生させ,特性を低下させるため,励磁電圧を早めに切る,パルス幅制御を導入した。 (3)最適制御パラメータ(進み角・パルス幅)自動設定制御の導入。 (1),(2)の実験データより明らかになった制御パラメータを実測速度を基にそれに応じた最適パラメータを自動設定するルーチンを作成し,特性の向上を実現した。 (4)バイポーラ駆動用トランジスタ・インバータの作成 本実験対象の新型SRMは,q軸に鉄心とともに短絡巻線が施されている。その新型SRMの特性を生かすとともに上記制御法を使用する最適なインバータを作成し,その有用性を実験により,明らかにした。 (5)有限要素法解析を行った。 本SRMは,q軸に鉄心と短絡巻線を持つために,解析を行う場合,その短絡巻線の取り扱いが問題となる。そこで,各巻線のインダクタンスを求め,電圧方程式を解くことにより,回転子巻線に誘導される短絡電流を求めトルクの算出を試みた。 以上,本年度において,特に高速時における新型SRMの特性改善を行い,有限要素法により特性解析を試みた。また,今回の研究による成果を応用し,トルクを最大にする,もしくは高効率を得るなど目的に応じた各々の最適制御法を確立するとともに,q軸鉄心と巻線を持たない従来のSRMとの実験や特性解析による比較を行っていく予定である。
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