量子通信理論は、量子現象を利用する通信方式の可能性を示唆し新たな通信分野を開拓し、飛躍的な通信量の増大を実現する。量子雑音限界を越える理論としてスクィズド光の研究がなされてきた実績を踏まえ、量子通信理論はつぎの段階に入ろうとしている。より有効に量子効果を通信理論に適用するためには本質的にメソスコピック・ナノスケール領域における物性物理のより深い理解とその制御法の探索が不可欠である。 現在までレーザー光学素子として使用されてきているBGOやBSO結晶はそれぞれ光導電性と電気光学効果を利用することによって実時間で繰り返し使用可能な空間変調素子が制作され研究されてきている。また基礎物性物理、基礎物理の分野ではBGO、BSO結晶のなかでもその組成がBi_<12>GeO_<20>、Bi_<12>SiO_<20>の結晶は、非中心対称性結晶でありピエゾ半導体結晶としての性質を有し、この結晶の結晶内電場は真空中に外場として与える得る電場よりはるかに強い電場(E=10^8〜10^9V/m)であることが予想され注目されている。この様な強電場は結晶内原子の極微最領域において分布するものであり、この電場を有効に用いることが可能であれば現在のデバイスの技術が飛躍的進歩を遂げることはこの強電場の大きさが通常の真空中の電場よりも100倍以上の大きさが予想されていることから明らかである。 結晶内電場の強度測定:結晶内の強電場を利用するためにはまず結晶内強電場を精密に測定することが必要となる。現在までに非中心対称性結晶の結晶内電場の測定は水晶の結晶に対して1989年フランスにおいて中性子回折法を用いた実験報告され高精度の結果を与えている。新たに本年度中性子回折法を採用し、BGO結晶に対しても偏極実験を実行し、電場作用を測定した。
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