研究概要 |
動的な画素が近傍間相互作用している自律分散系を考え,そこに3次元立体構造が自己組織されるシステムの構築に関する研究を行った.化学反応・熱対流などにおける自己組織パターン生成現象は,主に反応・拡散方程式系によりモデル化される.この系に自己組織されるパターンは,入力画像(境界条件)と共に反応項と拡散項のバランスにより決定される.それらの関係を用いて局所的な画素間の相関と大域的な相関との差から立体構造を抽出・自己組織する系を考察した.この方法は,近傍画素間のみの相互作用で定式化されるため,従来のニューラルネットワークで起こる結線の組合せ爆発の問題が起らない. そのために,まず多数の素子による協調現象を統一的に扱うシナジェティクス理論に関して,その画像処理(さらには産業技術一般)への展開について考察した.その考察をもとに,発展方程式系の基本的な性質となる反応・拡散・波動により,技術の蓄積,処理(演算),伝達がどのように行われるかを考察した.さらに,このような発展方程式系と遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm:GA)を結びつけることにより,GAによる画像処理の可能性を検討した.
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