本研究では、企業の事業所配置に対する地域間情報流動(交通・通信流通)の需要予測モデルを構築している。ここでは、研究対象として取り扱いにくい「情報」に対しての具体的なアプローチを提供することにより、今後ますます進展が予想される高度情報化社会に関する地域経済分析、都市・地域計画の分野に対しての新たな見地を提供している。 (1)情報流動(交通および通信流通)の需要予測モデル(メインモデル) このモデルは、交通計画における交通需要予測モデル・地理学における順位規模曲線や空間的相互作用モデルの考え方「情報流動」に対して適用したモデルである。具体的には以下のモデルで構成される。 (a)事業所分布モデル 各都道府県の事業所数に対して、ランクサイズルールを適用したモデルである。 (b)情報発生・集中量モデル 各都道府県の事業所の集積と情報発生量・集中量との関係を示したモデルである。 (c)情報流動量分布モデル 各都道府県別の情報発生・集中量から都道府県間情報流動量を捉えるためのモデルである。 (d)情報メディア選択モデル 各情報流動に対してどの情報メディアを利用するかを示したモデルである。 (2)地域間情報交流構造把握モデル (c)の都道府県間情報流動に対して構造化手法(Q分析)を適用して、地域間情報流動の方向性と都道府県の情報拠点としてのポジションを評価するためのモデルである。
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