研究概要 |
付着微生物膜処理における低水温対策として,付着担体側からの加温によって,低水温原水と接する担体表面に微生物の付着・増殖が可能なmicrohabitatを形成し,これを用いて低温原水中から汚濁物質の除去を行う処理技術の開発を目指してきた。そこで,本研究では,この処理法の開発において重要となる加温担体の設計に関して,担体表面温度と装置特性や運転条件等の操作因子との関係を明らかにするとともに,実際に加温担体を充填することによって得られる水質浄化能に関して検討を行った。 その結果,伝熱理論を用いた解析により,microhabitatの形成に重要な加温担体の表面温度は,担体の形状や寸法,担体表面からの整流束,流入原水の温度や流量,担体表面の流況等によって決定されることが示された。また,室内実験により,これらの操作因子を用いて計算される加温担体の表面温度は実測値を反映することが確かめられた。 一方,原水水質として,BOD10mg/l,NH_4-N3mg/lに調整し,水温3℃,熱流束を700W/m^2,処理流量は1.81/hrに設定した処理実験を行った結果,BOD除去率は50%程度,NH_4-N除去率は30〜40%程度であり,加温の効果が期待されることが示された。しかし,加温担体の表面温度をより高く保つためには,曝気等による槽内流動は好ましくなく,本処理法が高濃度のBODを含む原水を対象とするよりも,低濃度原水への適用を考えるべきであることが示唆された。
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