本研究は、天空放射輝度分布の標準化を目的としている。本研究で得た知見は以下である。 1.天空放射輝度分布による平均天空の構成の試み:平均天空は昼光率の予測計算のために提案されたもので、一定期間の各日における一定の就業時間帯の平均的な輝度分布である。天空放射輝度に関しても、福岡と調布における1年間のデータを用い、平均天空の構成を試みた。 2.天頂放射輝度に関する考察:暫定的に提案している昼光データに基づく天空状態の分類方法を用い、福岡における1994年の1年間のデータを晴天空、中間天空、曇天空に分類した。これより、それぞれの天空について天頂放射輝度の実態を検討した。 (1)天空状態に関わらず、天頂放射輝度は天頂輝度に対して線形の関係をとる。 (2)天頂放射輝度の太陽高度に関する回帰式を求めた。天頂放射輝度の実測値から得た式と、天頂輝度から推定した天頂放射輝度による回帰式は良く一致した。 3.太陽高度別天空放射輝度分布の平均に関する検討:天空状態による分類は行わず、全ての天空状態について、福岡の1年間のデータを太陽高度別に分類し、要約した。太陽の方位角は同一となるよう、方位の座標を変換する。 (1)太陽高度10°毎に各測定点の実測値を平均した。これを天頂放射輝度の平均値で除し、分布図を作成した。 (2)天頂放射輝度に対する天空放射輝度の相対値を、太陽と天空要素との角距離の関数として回帰式の導出を試みた。この数式により、天空放射輝度分布の予測を可能とした。
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