【方法】ファージベクターfUSE5を用いて、コート蛋白質g3のN末端に、2つのシステイン残基に挟まれた6残基のランダムペプチドが発現するようにランダムペプチドライブラリーを構築した。モデル蛋白質として牛膵臓リボヌクレアーゼ(RNaseA)を用いてこれに対して親和性を持つペプチドを提示するファージクローンを、ライブラリーから固層に固定したRNaseAによって選択した。この際、得られるペプチドとRNaseAとの間の静電的な結合が強調されるように、RNaseAの等電点(9.6)から離れたpH6.0で、かつイオン強度の低い10mMリン酸緩衝液を用いてアフィニティ選択を行った。 【結果】RNaseAに対して親和性を持つペプチドを提示したファージクローンが得られ、これらのファージのRNaseAに対する親和性はイオン強度を上昇させると顕著に低下した。現在塩基配列からこのクローンの提示するペプチドの配列を解析しているが、これまでに得られた結果から、(1)目的蛋白質に対する親和性を有するオリゴペプチドリガンドが取得でき、(2)得られたリガンドの結合はイオン強度依存性が顕著であることが明らかとなった。 【結論】以上のことから、本研究に用いた手法によって、NaClの添加などによる温和な条件で目的蛋白質を溶出回収することができる理想的なペプチドリガンドが得られると考えられる。
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