1 6個のアミノ基を有するホスファゼンを開始剤かつ核としてγ-ペンジル-L-グルタミン酸NCAの開環重合を行い、6本鎖の星型ポリアミノ酸を合成した。このポリマーのアミノ基末端に活性化エステル法によりピレン酪酸の導入を試みたところ、6個の末端に3〜5個のピレンが導入されたポリマーを得た。 2 1で合成したポリマーのα-ヘリックス形成溶媒であるクロロホルム、ジオキサン、ジメチルホルムアミド中での蛍光スペクトルにはピレンのエキシマー蛍光が観測された。また、ポリマーのクロロホルム溶液にヘリックス破壊溶媒であるトリフルオロ酢酸を添加していくと著しくエキシマー蛍光が増大した。これはトリフルオロ酢酸の添加量が増加するとポリマー鎖のヘリックス-コイル転移を誘発し、固い構造をもつα-ヘリックス状態から自由度の大きいコイル状態へポリマー鎖が変化するためであると考えられる。以上の結果と星型ポリマーの核として用いたホスファゼン誘導体の構造から、合成した星型ポリアミノ酸がα-ヘリックス形成溶媒中でホスファゼン環の上下で3α-ヘリックスバンドル構造をとっていると推測した。 3 1で合成したポリマー末端に導入したピレンの蛍光偏光測定から核からのびたポリマー鎖の運動性を評価していく予定であったが、現在予備実験の段階であり今後詳細な検討を行う。
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