研究概要 |
本研究は低電力で安定に作動し得るプラズマジェットの開発・性能評価を目的とし、10W程度の極低電力下での安定作動を実現し,性能を支配する噴射ガス温度測定を行った.実施計画項目別の成果は以下の通りである. 1.設計・試作・放電特性の評価:低電流下で安定な放電を得るために,高い安定化抵抗を用いた直流高電圧電源(最大電圧10000V)を試作・使用した.また,使用ノズルについては従来型(W)と絶縁材挿入型(W-BN)について,ノズル噴射口径0.3,0.5,0.7mm,スロート長さ0.5,1.0,2.0mmの各場合における放電電圧-放電電流特性を測定し,何れの場合も安定な放電が得られ,特にW-BNの場合に放電電圧及び放電室圧力が上昇することが確認された. 2.噴射プラズマの分光学的診断による性能評価:(1)単原子ガス(Ar)の場合;分光器で噴射プラズマの発光スペクトル波長及び強度を測定し,相対強度法を用いて温度の見積をしたところ,W-BNの場合でノズル噴射口径,スロート長さが共に小さい場合に,より高い噴射ガス温度(6000K程度)が得られることが確認された.(2)分子ガス(N_2)の場合:分子分光理論より特定の電子励起温度,振動励起温度,回転励起温度に対する電子-振動-回転スペクトルを理論計算するシミュレーション・プログラムを開発した.分光器で測定されたスペクトルに計算で得られた理論スペクトルをカーブフィットさせることによって,電子励起,振動励起,回転励起の各温度を評価する手法を確立した.幾つかの場合については各温度を特定することができたが,各種ノズルと噴射ガスの熱非平衡性との相関関係を見出すまでには到っていないので,今後これについて検討を進める. 3.完全攪拌型燃焼器におけるプラズマジェットの着火・保炎性能評価:石英ガラス製完全攪拌型燃焼器を設計・制作し,現在,燃焼実験の準備中である。
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