本学実験圃場内の水田土壌を用いて、酸性土壌条件をつくり出すための方法、並びに指示薬を用いて視覚的に土壌pHの変化を調査する方法を検討するとともに、土壌pHに対する日本型イネ品種の生育反応の差異を調査比較し、以下の結果を得た。 1.土壌の酸性化とアルミニウム含量 (1)土壌酸性化の検討 埴壌土水田土壌(pH5.94)に硫酸(36N)を添加し、pHの変化を調査したところ、土壌100gのpH変化は次のような指数式で表せることが明らかになった。 y=5.834e^<-1.889x> R^2=0.922 (2)人工酸性土壌のアルミニウム含量 上記の方法でpH3.90〜5.94の範囲で5段階のphが異なる土壌を設定し、yUANの方法により置換性アルミニウムを測定したところ、pH5.94では検出されず、pH3.90では11.85mg/100gの置換性アルミニウムが検出された。 2.ブロムフェノールブルーによる土壌pHの観察 通常ブロムフェノールブルーは0.1gを20mlのエタノールに溶解した後に100mlに調製するが、イネの発芽趣旨は極僅かでもエタノールを含む培地では生長が著しく阻害された。そこで、エタノールを用いずにブロムフェノールブルーを調製し、土壌に混入したところ、土壌は十分に染色され、pHの違いがはっきりと観察された。 3.土壌pHに対する日本型イネの生育反応の品種間差 日本型イネ10品種を用いて、上記のphの範囲における草丈、最長根長、地上部・地下部乾物重を調査したところ、pHに対する核形質の反応から次の3グループに分類できた。 ・対アルミニウム性小:地上部・地下部とも生育阻害が小さい(ツクバハタモチ) ・対アルミニウム性中:地上部のみ生育が阻害される(コシヒカリ、ヤマヒカリ) ・対アルミニウム性大:地上部・地下部とも生育が阻害される(越路早生、他)
|